004 「目標という種に、栄養を与え続けよう!」
見えないと始まらない。見ようとしないと始まらない。 ―――ガリレオ・ガリレイ
痛みが酷かったり、長引いたりすると、そのことで頭がいっぱいになってしまいます。
痛み信号は強く、脳に優先的に届けられるので、他のことを考える余裕がなくなるのは仕方がないのかもしれません。
実際、患者さんに
「良くなっていくイメージってありますか?」とか
「どんな事をしていると、軽く感じられてますか?」と聞いてみても
多くの方は 「良くなっていくイメージ? そんなのはありません」とか 「軽いとき…? そんなこと考えたこともない」なんて答えます。
一日24時間、365日、痛みのことだけを気にかけ、そればかりイメージしていては回復しないのも当然です。
健康な人10名に熱刺激を加えて、機能的MRIで脳の変化を観察した、アメリカのコヤマ医師の研究でも、
「予想やイメージするだけでも、実際に脳の中で痛みの興奮が生じたり、反対に、回復するようにも反応する」という結果が出ております。
「予想」や「イメージ」は、症状をひどくするのにも、回復するのにも、どちらにも大きく影響していることが科学的に分かっているわけです。
ですから
長引く症状から抜け出すために、まず最初に取り組んでみたいことは、「回復したら、どんなことをしてみたいか?」「この治療プログラムを終えた後、どうなっていたいのか?」
回復に役立つ目標をつくり、それをイメージする。
痛みや症状というマイナスのことより、未来のプラスのことに意識を向けてみる。
そんな時間を増やしていく。
ここが長引く痛みから抜け出す、はじめの一歩になるのです。
~ 今日からできる心のトレーニング ~
どんなものでも、時間と労力をかけた分だけ成長します。
痛みと症状をイメージする時間を増やせば、その種は大きく成長していきます。
反対に、回復している自分をイメージする時間を増やせば、その種はふくらんでいきます。
心トレ1)紙に書き出してみる
次の問いに対する答えを書き出してみましょう。
問1「この治療が終わったとき、どんな状態になっていたら最高ですか?」
問2「明日の朝起きたとき、すっかり良くなっていたら、どこで、どんなことをしてみたいですか?」
問3「すっかり回復している“わたし”って、どんな表情で、どんなことを考え、どんな毎日を過ごしていますか?」
はじめは答えに詰まるかもしれません、し、イメージが膨らまないかもしれません。
でもそれで大丈夫。
トレーニングですから、コツコツ取り組んでいくことで、少しずつ上達してきます。
慣れてきたら、できるだけ詳細に。
どこでどんなことをしているのか? 誰といるのか? 周りには何が見えるか? 何が聞こえるか? その時の気分は?
イメージを膨らませながら、思うままに書き出していきましょう。
心トレ2)呼吸とともに
ゆったりと穏やかな呼吸をしながら、書き出した内容をイメージしてみましょう
まずは5分からはじめてみる。
そして、慣れてきたら10分、15分と、プラスの「イメージ」と「気分」に浸ってみましょう。
できれば静かな空間で。
そして、大切なのは、制約をしないこと。
あくまでもイメージトレーニングですので
自由に 伸びのびと いい気分に浸りながら 穏やかに 吸って~吐いて~ を繰り返してみましょう。
005「質のよい睡眠で、からだと脳を癒しましょう」